ある地方都市の生鮮食料品の中央卸売市場において、卸売業者大手2社が統合する計画につき、公取委の審査が実施されました。地理的観点からは需要者が買い回りできる範囲に他の有力市場はなく、統合により独占的支配力を有することが懸念されていました。弊社の専門家は、当事会社の業務内容の詳細、および大量の取引データの分析等を通じて、中央卸売市場において、卸売業者は需要と供給を仲介し市場における価格形成を行うマーケットメーカーとしての機能を有しているものの、価格自体に対して影響力を行使できる立場にないという主張の立証に取り組みました。具体的には、①中央卸売市場においては一定割合をセリを通じて取引することが義務付けられているところ、セリ以外の取引における価格もセリの価格と強い相関関係を有していること、②需要者である仲買人や小売業者について、近年、中央卸売市場を経由しない仕入れの割合が高まっており、隣接市場からの圧力が十分に高いこと、③卸売業者の販売形態として受託販売と買付販売があるところ、受託販売については手数料の規制が存在し、卸売業者の支配力が及ばないことなどの事実を明らかにする定量的分析、およびこれらと整合する主な需要者からのアンケート・ヒアリング内容をまとめた調査報告書を作成し、当事者と弁護士、公取委の間のコミュニケーションを支援しました。この結果、実質的に競争制限的な影響が生じないという主張について理解が得られ、公取委は比較的早期において、排除措置命令なしの通知を行い、統合は計画通り実施されました。