Alpha Commentary: International Valuation Standards Councilが「無形資産に係る拡張的枠組み(Enhanced Framework for Intangible Assets)」についてのperspective paperを発表。
価値評価に係る国際的な基準団体であるInternational Valuation Standards Council (IVSC)はこのほど、「無形資産に係る拡張的枠組み(Enhanced Framework for Intangible Assets)」についてのperspective paperを発表しました(同論考はこちらから入手可能)。同論考は、近年、企業の価値創出の源泉として、無形資産の重要性が増加しており、その結果、簿価純資産と企業価値の乖離が年々拡大していること、その傾向はコロナ禍の下でさらに進みつつあることを述べています。そして、一般的な会計基準では本来重要であるはずの無形資産についてソフトウェアなどごく一部しか認識されず、その結果、財務報告が限られ、監査や投資家からのチェックが効かなくなるという問題点を指摘しています。このような問題意識の下、IVSCは従来の会計基準以上に無形資産を適切に評価、認識するための 「無形資産に係る拡張的枠組み」を提唱し、今後、具体的な無形資産の対象や目的、開示方法や資産化、価値創造プロセスなどにつき、議論していくとしています。無形資産の評価のみではバリュエーションと会計情報のギャップを埋めることはできないものの、株式価値の指標としてバランスシート上の純資産が持つ意味を高めるうえで、上記の取り組みが重要な意味を持つと考えられます。また、潜在的には会計や開示の実務に対しても影響を与える可能性があり、今後の議論が注目されます。