M&A専門誌マール8月号に「人的資本の価値創造プロセスと評価手法~投資家への情報開示とM&Aへの示唆~」が掲載されました

M&A専門誌マール8月号[寄稿・寄稿フォーラム]において、弊社マネージングディレクター池谷誠による「人的資本の価値創造プロセスと評価手法~投資家への情報開示とM&Aへの示唆~」が掲載されました。

近年、人材が組織の持続的成長や価値創造の担い手であるという認識の下、人的資本に係る情報開示への関心が高まっています。しかし、人的資本を金銭的価値としてどのように評価するのかについては、確立した理論や手法が存在しません。このような状況の下、国際的な価値評価についての標準設定機関であるIVSC(国際評価基準審議会)はこのほど、人的資本の評価に係るPerspectives Paper(以下、「IVSC論考」という。)を発表しました。

IVSC論考は人的資本の評価に係る規則やガイドラインを示すものではなく、今後の議論の基礎を提示するにとどめていますが、人的資本の価値創造プロセスにつき理論面の整理を行い、価値創造が従業員一人一人の個別の貢献だけではなく、チーム内部での相互のシナジーも生じること、さらに人的資本以外の他の無形資産(技術やブランド等)との間でもシナジーが生じ、価値を創造すると述べています。また、人的資本の評価方法として、従来、再調達コスト法が用いられる場合があったものの、上記のような特徴を考慮すると適切でなく、対象とする人的資本を得られなかった場合の逸失利益を基礎とするなど、人的資本の希少性を考慮した手法が適切である可能性を示唆しています。

本稿では、IVSC論考に基づき、人的資本の価値創造プロセスについて考察し、上記プロセスへの理解が企業にとって効率的な人的資本への投資を支援し、また、投資家に対する情報開示においても、適切なストーリーを伝えるうえで重要な意味を持つと述べています。また、人的資本を個別に評価する必要性は限定的ではあるものの、人的資本が重要性な意味を持つM&Aなどの局面において、人的資本の取扱いが重要な意味を持つほか、評価手法としても、IVSC論考が提示するWWM(With and Without Method)などの手法が役立つ可能性があることを紹介しています。

MARR Onlineに掲載中の本記事はこちらをご参照ください。